半夏白朮天麻湯
【頁内目次】…クリックして下さい。写真は中国の色々。
![]() 胃腸虚弱の方の頭痛と目眩(めまい)/痰飲による頭痛と目眩(めまい) |
【適応症】胃腸虚弱で下肢が冷え、めまい、頭痛などがある者、慢性胃腸炎、内耳性眩暈(めまい)、胃アトニー症、胃下垂、胃神経症、胃腸虚弱者、低血圧に伴う頭痛、低血圧症、蓄膿症、常習性頭痛、メニエール症候群 |
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【妊娠・授乳の注意】![]() |
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証(症状・体質)判定を望む方 |
中医学の証の解説
中医学(漢方)の治療目的は病邪を取り除き、病因を消し去り、陰陽![]() ![]() |
次の症状のいくつかある方は、本方剤が良く効く可能性が大きいです。
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【八法】…消法:消食導滞・散結消堅の効能により、気・血・痰・食・水・虫などが積聚した有形の滞結を徐々に消散させる治法です。 |
【中薬大分類】祛痰剤…固まった水液である痰を除する方剤です。きょ痰薬を主体にし、痰を排除・消解したり、各種の痰病に効果のある方剤です。 【中薬中分類】治風化痰剤…風邪を伴う痰を除去する方剤です。 |
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【気血津液】…人体の生命を支える要素として、氣(qi)・血(blood)・津液(body fluid)の3つがあります。 ●水液停滞…余分な水があまっている方が使用します。津液の停滞のことで、西洋医学的には細胞内液・組織液・リンパ液などが、主として組織間・消化管内・体腔内に異常に停滞したことを意味します。 中医学では湿・痰飲・水腫と呼ぶのが一般的で、日本では水毒ともいわれます。 |
【証(病機)】脾不運湿・風痰上逆(ひふうんしつ・ふうたんじょうぎゃく) |
【中医学効能(治法)】 健脾除湿・化痰熄風・補気・理気 |
【用語の説明】(term)![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
【出典】
(source)![]() 西暦1249年 元時代 『脾胃論』 李東垣 →処方使用期間:759年間 |
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【治療の特徴】 中医学(漢方)における治療の特徴は、「病気そのものにこだわらず、体質の改善によって健康に導く」ことと、 「自然の生薬(herb)を処方した漢方薬を使う」ことです。 生体における「気=エネルギー(energy)的なもの・肉体の機能や働き」、「血=血液」、「津液=体内水分」の3要素が身体をバランス(balance)良く循環することが大切だと考えます。 人間の健康は、これら「気」(陽)と「血・津液」(陰)の調和のもとに保たれています。「血・津液」は、原動力となる「気」のもとで初めて活性化され、全身を循環して五臓六腑に栄養を供給します。 この陰陽(positive and negative principles)が調和していれば、健康でいられますが、陰陽のバランスが崩れると、さまざまな病気が起きてくるのです。 |
中薬(成分生薬)の解説
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1.天麻は内風を鎮め、ふらつき・めまいなどを改善する(臆風)。 2.半夏・生姜・陳皮は、中枢性・末梢性の鎮嘔・制吐の作用をもち、悪心・嘔吐を止め(止嘔)、疲の生成を抑制して鎮咳に働き(止咳化痰)、上部消化管の水分停滞を除く(化湿)。 3.人参・黄書・白丸・蒼7忙・快苓は、消化吸収機能を強め、全身の機能・代謝・抵抗力を高める(補気健脾)。 4.白丸・蒼市・戻苓・沢潟は、組織中や消化管内に停滞した水分を血中に吸収して利尿により除き、黄書も組織中の水分停滞を除く.共同して浮腫・水様便などを改善する(利水消腫・止瀉)。 5.半夏・生姜・陳皮・麦芽は、消化管の蠕動を調整し消化吸収を補助する(理気)。麦芽は消化酵素を含み、直接的に消化を助ける(消導)。 6.黄柏は整腸に働くとともに、他薬の温性を緩和する「反佐」として配合されている。 (補足) 本方は「痰濁上擾」すなわち疲湿が頭面部に上昇して生じるめまい・ふらつき・悪心・嘔吐の症候に用いられる.疾湿は脾胃気虚で水分代謝が低下したために発生するものであるから、脾胃気虚に対する「本治」を基礎にしたうえで、疫湿に対する徳風・化痰・化湿・利水という「標治」を配合し、「標本同治」の形態をとっている。 処方の構成上、六君子湯の加減と考えられ、六君子湯とほぼ同様に使用することもできる。 |
【中薬構成】(herb composition)![]()
半夏・白朮・茯苓・人参・陳皮・生姜は六君子湯から大棗と甘草を除いたもので、これに天麻以下の薬物を加えたものと見ることができます。 |
病症・腹診・舌診・脈診について
病症は、この症状に当てはまることがあれば、効く可能性が大きいです。
症例・治例は、クリックして具体的な例をお読み下さい。
腹診は、お腹の切診です。日本漢方でよく使用されます。
舌診は、舌の状態の望診です。証の判定の有効な手段です。
脈診は脈の切診です。脈の速さは、確実に判定できますが、それ以外は難しい技術です。
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●処方名:半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)比較情報 |
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中医学のベースにあるのが、「陰陽五行説」と呼ばれる思想です。「陰陽論」と「五行説」の2つがいっしょになったものですが、どちらも自然や人体の観察から生まれた哲学的な思考法です。
陰陽論では、自然界のあらゆるものを「陰」と「陽」の、対立する2つの要素に分けて考えます。陰と陽は相反する性質をもっていますが、一方がどちらかを打ち負かしてしまうことのないように、常にバランスをとりあっています。自然界では、夜は陰で、昼は陽、月は陰で、太陽は陽、水は陰で、火は陽とされます。また、人体では、「五臓」が陰で、「六腑」が陽、背中が陽で、おなかが陰とされます。こうした陰と陽の分類は絶対的なものではなく、比較する相手によって変化します。たとえば、背中とくらべるとおなかは陰ですが、同じおなかでも上のほうは陽で、下のほうは陰となるといった場合です。
五行説では、自然界のさまざまな要素を「木」「火」「土」「金」「水」の5つの要素である「五行」に分けて考えます。これらの5つの要素には、それぞれ特徴的な性質があります。木はまっすぐ上に伸びる性質、火は燃え上がる性質、土は生み育てる性質、金は変化・収縮させる性質、水は下に流れて潤いをあたえる性質があるとされます。
それぞれの性質によって、五行は、お互いに助け合ったり、牽制し合ったりしながら、全体のバランスを保っています。五行が相互に助け合う関係を「相生」といい、牽制し合う関係を「相克」といいます。人体の「五臓」の間にも、こうした相生や相克の関係があり、五行説の考えかたは診断や治療にも生かされています。
