処方名大建中湯処方名

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  主治(Mainly treatment)
脾陽虚証(腹部が冷え・膨満感・軟便性便秘)/胃寒証(胃に寒邪が侵入)  
  【中国主治】(Chinese Mainly treatment)
一、中陽衰弱,陰寒?盛,?腹劇痛,手不可近。 二、腹滿嘔吐,納呆,或腹中漉漉有聲,舌淡,苔白滑者。 三、?寒性腹痛,得?則痛減者。  
  【適応症】慢性胃炎、慢性腸炎、尿管結石、胃下垂、胃アトニー、弛緩性下痢(泄瀉)、弛緩性便秘、慢性腹膜炎、腹痛、腸疝痛、慢性腸狭窄、腸内ガスによる腹痛、回虫症、胃拡張症、遊走腎、腹膜癒着後遺症、流産癖、腎結石、胆石症、喘息。  
  【中国臨床應用】(Mainly treatment)
腸蠕動不良,腸狹窄症,腸弛緩症,局限性腹膜炎,蛔蟲引起腹痛,?寒性蟲垂炎,腸疝痛,胃下垂,胃擴張,腎臟結石,膽石症等。  
 
中医師 漢方・中医学(Traditional Chinese Medicine)における治療の特徴は、「病気そのものにこだわらず、体質の改善によって健康に導く」ことと、 「自然の生薬(herb) »を処方した漢方薬を使う」ことです。
生体における「気=エネルギー(energy)的なもの・肉体の機能や働き」、「血=血液(blood)」、「津液=体内水分」の3要素が身体をバランス良く循環することが大切だと考えます。
人間の健康は、これら「気」(陽)「血・津液」(陰)の調和(harmony)のもとに保たれています。「血・津液」は、原動力となる「気」のもとで初めて活性化され、全身を循環して五臓六腑に栄養を供給します。 この陰陽(positive and negative principles)が調和(陰平陽秘)していれば、健康でいられますが、陰陽のバランスが崩れると、さまざまな病気が起きてくるのです。
黄帝:三皇五帝時代。夏王朝の始祖。宮廷医師、岐伯との問答形式で記された古典的医学書「内経 »素問」の著者です。日本ではユンケル「ユンケル黄帝液」などと商品名に利用されています。
 
  弁証論治 リンク脾陽虚(脾陽不振・脾陽虚弱・脾胃虚寒) »
リンク胃寒(寒痛) »
 
  【中国辨證】(Dialectic)
(1)體?裡寒。 (2)腹痛腹肌無力。 (3)脈沈、遲、弦、弱。  
  薬は効果(ベネフィット)のみだけでなく副作用(リスク)の可能性もあります。リスクをなるべく抑え、ベネフィットを最大限に引き出すことが大切なのです。薬を使用される方の理解と協力が大いに必要です。
【副作用】(ill effects)
証が合わない場合は、発疹(ほっしん)やかゆみなどの過敏症が現れることがあります。  
  【注 意】(Remark) ×残念ながら、肝臓の悪い方は、禁忌(きんき)(服用を避ける)です。
 
  【妊娠・授乳の注意】女性 ●妊婦または妊娠の可能性のある人は、使用できない場合があります。
 
 
  証の判定 判定

証(症状・体質)判定を望む方判定の方右矢印 陰陽(太極図)証の判定メニュー画面へ »
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中医学の証の解説中医学の証の解説

  中医学(漢方)の治療目的は病邪を取り除き、病因を消し去り、陰陽陰陽(positive and negative principles)のバランス(balance)の乱れを正し、相関する臓腑の生理機能を調和・回復させることです。 中医師 中医学(漢方)の特徴は、身体全体を診るということです。 身体全体の調子(バランス)を整え、病気を治していきます。 ですから、病気の症状だけでなく、一人ひとりの体質も診断しなければなりません。 このときの身体の状態や体質をあらわすのが(しょう)(constitution)という概念です。 この考え方は、西洋医学が臓器や組織に原因を求めていくのとは対照的です。 中医学(漢方)の良さは、薬そのものよりも、証にもとづき人を診るという、その考え方にあります。  
  次の症状のいくつかある方は、本方剤が良く効く可能性が大きいです。 大建中湯 朱雀:四神の獣・南方の守護神  
 
【使用目標】
本方剤の適応する使用目標は次のとおりです。
●腹部や手足が冷える。
●腹壁が薄く、軟弱で力がない。
●急激な腹痛が起こる。
●腹部に膨満感があり、腸内にガスがたまる。
●腸の蠕動運動が高まり、モクモクと動く様子が外部からでも見える。
●腹がゴ□ゴ□と鳴る。
●食欲不振、悪心、嘔吐、疲労感などがある。
 
  【八法】…温法:温裏・散寒・回陽・通絡などの効能により、寒邪を除き陽気を回復し経絡を通じて、裏寒を解消する治法です。  
  【中薬大分類】温裏(補陽)剤…体内を温める方剤です。即ち、裏寒を改善する方剤です。
【中薬中分類】温中散寒剤…中焦の冷え(裏寒)に用いる方剤です。中焦脾胃の陽気が虚衰して、運化と昇陽が不足し、腹痛・腹満・食欲不振・口渇がない・下痢・悪心・嘔吐・舌苔が白滑・脈が沈細または沈遅の症候がみられます。  
  八綱分類裏寒虚(りかんきょ) 裏 寒 寒 虚 …証(体質・症状)が、裏証(慢性症状)、寒証(冷え)、虚証(虚弱)の方に適応します。

 
  【気血津液】…人体の生命を支える要素として、氣(qi)・血(blood)・津液(body fluid)の3つがあります。
気虚…氣が不足している方が使用します。氣の作用の不足で、全身の機能・代謝・抵抗力の低下や興奮性の低下などに伴う症候を現します。 疲れやすい、元気が無い、活力低下などを特徴とします。
 
 
  【気血津・臓腑証】
臓腑の中寒(実寒・虚実挾雑)(ぞうふのちゅうかん(じつかん・きょじつきょうざつ))…乾姜・蜀椒による温中散寒が主体であり、蜀椒はさらに腸管を麻痺させる作用をもつらしいので、蠕動が過度に亢進したり逆蠕動のため(自覚的・他覚的に蠕動冗進が認められる)に、激しい腹痛をきたした場合にもっとも適しています。膠飴も鎮痒に働きますが、蜀椒の刺激性を緩和する目的で配合されています。
 
 
  【証(病機)】中焦陽虚・陰寒内盛(ちゅうしょうようきょ・いんかんないせい)  
  【中医学効能(治法)】 温中散寒・補脾緩急・解痙止痛・補気健脾・降逆止嘔  
  【用語の説明】(term)
リンク温中散寒法(おんちゅうさんかんほう) »…温・熱性の生薬を用いて脾胃を温め、腹痛や冷え下痢などを治療する方法です。類語:温裏散寒法(おんりさんかんほう)
リンク補気(ほき) »…気を補う=益気のことです。
リンク補脾(ほひ) »…脾の機能を高めることです。
リンク健脾(けんぴ) »…脾の働きです。脾胃の機能を正常にする治療法です。
 
  【出典】 (source)出典書籍
西暦250年 三国時代 『金匱要略』 校訂 →処方使用期間:1758年間  
  中医師 【備 考】 (remarks)
弱ったおなかに効く「建中湯」トリオ
乾姜、人参、蜀椒、膠飴という4種類の生薬で構成される「大建中湯」に対し、桂枝、芍薬、甘草、大棗、生姜、膠飴の6種類の生薬で構成されているのが「小建中湯」です。蜀椒がない分、大建中湯より効き目がマイルドなため、主に消化器系が弱く頻繁に腹痛を起こす虚弱児に用いられます。また、桂枝、芍薬、甘草、大棗、蜀椒、生姜、人参、膠飴といった8種類の生薬で構成される「中建中湯」は、大建中湯と小建中湯を合方した漢方薬で、漢方の名医、故・大塚敬節博士が創方したものです。主に癒着性のイレウス(腸閉塞)の治療や予防に用いられます。
いずれも、建中湯の「中」は消化器系の内臓を指していて、体力が低下した人や、虚弱体質の人の弱った腹部を改善するのに有効な漢方薬です。
 
  大腸と小腸虚弱体質を改善する大建中湯
虚弱体質とひと口にいっても、人によって違いがあり、それぞれの証に合ったオリジナルの処方ができるところが、漢方薬の大きな特長です。
その中でも大建中湯は、腹壁が軟らかくて薄く、ガスがたまっておなかが張ったり、冷えによる腹痛が起こったりしやすく、腸がモクモクと動く様子が外からでも見えたり、自覚できたりするような虚弱体質の人に用いられます。
このような人は腹部が大変冷えており、胃腸が弱っているため消化力と吸収力が落ちていて、どんなに食べても太れないどころか、かえってやせ過ぎている場合が多いようです。また、体のだるさと疲労感が強く、貧血気味で、顔色が悪いことなども特徴として挙げられます。
こうした症状を、体内から温めることによって改善していき、痛みや苦しさを解消するのが大建中湯です。
外部から侵入する寒気の影響も含め、体が冷えるということは、体力や免疫力低下につながります。そしてさまざまな病気を引き起こす原因にもなります。大建中湯は、まず体の内側を温めて血行を促し、縮んだ細胞を拡張して水分を循環させ、体に元気を与える漢方薬です。大建中湯を服用し続けると、症状が治まるだけでなく、徐々に消化・吸収力も改善されて、健康体がよみがえってきます。
腹部の手術後にも用いられる治療薬
健康体の人には、程よい皮下脂肪と適度な筋肉が付いているため、ある程度の冷えは防ぐことができるものです。また自然治癒力も備わっています。
ところが、虚弱体質の人には、そうした体力が備わっていないか、あるいは備わりにくい体質になっているため、もしも手術をした場合、その個所が癒着したり、それによる痛みも起こりやすくなったりします。特に腹部の手術後、冷えによる痛みが強い場合や、腸管通過障害などがある場合には、その治療薬として大建中湯が用いられることがあります。
さらに、大建中湯でも強くて飲めないというほど体力が弱っている場合には、大建中湯に附子梗米湯(ぶしこうべいとう)を合方した「解急蜀椒湯」(かいきゅうしょくしょうとう)という漢方薬を使うことで、腹中切痛(おなかの中を刃物で切られるような痛み)を取り除くことができます。
このように、大建中湯は、極めて虚弱な人の消化器系に起こるトラブルを改善するほか、腹部手術後の回復にも役立つ名薬なのです。
 
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  【治療の特徴】
中医学(漢方)における治療の特徴は、「病気そのものにこだわらず、体質の改善によって健康に導く」ことと、 「自然の生薬(herb)を処方した漢方薬を使う」ことです。
生体における「気=エネルギー(energy)的なもの・肉体の機能や働き」、「血=血液」、「津液=体内水分」の3要素が身体をバランス(balance)良く循環することが大切だと考えます。
人間の健康は、これら「気」(陽)と「血・津液」(陰)の調和のもとに保たれています。「血・津液」は、原動力となる「気」のもとで初めて活性化され、全身を循環して五臓六腑に栄養を供給します。 この陰陽(positive and negative principles)が調和していれば、健康でいられますが、陰陽のバランスが崩れると、さまざまな病気が起きてくるのです。  

中薬(成分生薬)中薬(成分生薬)の解説

 
大建中湯の中薬一覧(herb list)
生薬名(herb name) 薬量(quantity) 君臣佐使(role) 効能1 効能2 効能3 効能4 大分類 中分類
乾姜 » 5 臣薬 温中散寒 温経散寒 補陽・止嘔 温裏薬(散寒薬)
蜀椒 » 3 君薬 温中散寒 止痛・駆蛔(麻痺) 温裏薬(散寒薬)
人参 » 3 佐薬 補気健脾 消痞 補虚薬 補気薬
膠飴 » 10 使薬 補気健脾 止痒 補虚薬 補気薬
君薬…方剤配合中の主薬で、症状に対して主に作用する薬物です。
臣薬…主薬を補助して主薬の効き目を強化する薬物です。
佐薬…主薬に協力して二次的な症状を取り除くか、または主薬を制御し、主薬による副作用を抑えるか防ぐ薬物です。
使薬…方剤の中では二次的な薬物か、引経(薬物を病のある場所まで引率していく作用)の薬物です。
 
  【中薬構成】(herb composition)
神農

大建中湯の名称は小建中湯に対するものですが、構成中薬は膠飴を除いて共通のものはないです。しかし中(中焦)を建てる、すなわち中焦の要薬という点で、小建中湯と軌を一にする重要方剤です。
構成中薬のすべてが温性・補性で、中焦(消化機能)を温め補う方剤と考えます。
蜀椒・乾姜は辛辣性(しんらつせい)健胃鎮痛薬、人参は強壮薬、膠飴は緩和(鎮痛)薬で、腹部が軟弱無力で、腸の蠕動不安が外部から望見できるような場合に用います。多くは腹痛の堪えがたい場合に用います。
神農:三皇五帝のひとりです。中国古代の伝説上の人といわれます。365種類の生薬について解説した『神農本草経』があり、薬性により上薬、中薬、下薬に分類されています。日本では、東京・お茶の水の湯島聖堂 »に祭られている神農像があり、毎年11月23日(勤労感謝の日)に祭祀が行われます。  

 
●方 解
方中蜀椒,乾薑皆屬?熱性藥物,性極辛熱,能?裡散寒行氣散滯,並對弛緩之組織,鼓充活力;飴糖有滋養緩和作用且有止痛功能;人參能促進胃腸消化,吸收,補氣恢復體力。
 

病症・腹診・舌診・脈診病症・腹診・舌診・脈診について

  病症は、この症状に当てはまることがあれば、効く可能性が大きいです。 症例・治例は、クリックして具体的な例をお読み下さい。 腹診は、お腹の切診です。日本漢方でよく使用されます。 舌診は、舌の状態の望診です。証の判定の有効な手段です。 脈診は脈の切診です。脈の速さは、確実に判定できますが、それ以外は難しい技術です。 各説明ボタンをクリックしてお読みください。 ●処方名:大建中湯(だいけんちゅうとう)比較情報
 
 
【病症】(symptoms) 次の病症どれかのある方に本処方は適合します。 ●発作性の激しい腹痛。
●腹部の冷え。
●嘔気、嘔吐(発作性)。
●便秘又は下痢(泄瀉)。
●疲労感。
●手足の冷え。
●腹鳴、グル音。
足跡【大建中湯】の症例・治例 »
腹診【腹診】(abdomen) 腹壁がモクモクと動くのがみえ、腹壁が軟弱で、時にガスがたまり膨満します、胃下垂があります。
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舌診【舌診】(tongue) 一定しないです。
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脈診【脈診】(pulse) 沈細遅、あるいは沈緊です。
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  【中国藥方加減】(Dialectic)
1.嘔吐痰水:加半夏、茯苓。 2.心胸寒痛:加附子、細辛。  
陰陽五行論 陰陽五行説
中医学のベースにあるのが、「陰陽五行説」と呼ばれる思想です。「陰陽論」と「五行説」の2つがいっしょになったものですが、どちらも自然や人体の観察から生まれた哲学的な思考法です。
陰陽論では、自然界のあらゆるものを「陰」と「陽」の、対立する2つの要素に分けて考えます。陰と陽は相反する性質をもっていますが、一方がどちらかを打ち負かしてしまうことのないように、常にバランスをとりあっています。自然界では、夜は陰で、昼は陽、月は陰で、太陽は陽、水は陰で、火は陽とされます。また、人体では、「五臓」が陰で、「六腑」が陽、背中が陽で、おなかが陰とされます。こうした陰と陽の分類は絶対的なものではなく、比較する相手によって変化します。たとえば、背中とくらべるとおなかは陰ですが、同じおなかでも上のほうは陽で、下のほうは陰となるといった場合です。
五行説では、自然界のさまざまな要素を「木」「火」「土」「金」「水」の5つの要素である「五行」に分けて考えます。これらの5つの要素には、それぞれ特徴的な性質があります。木はまっすぐ上に伸びる性質、火は燃え上がる性質、土は生み育てる性質、金は変化・収縮させる性質、水は下に流れて潤いをあたえる性質があるとされます。
それぞれの性質によって、五行は、お互いに助け合ったり、牽制し合ったりしながら、全体のバランスを保っています。五行が相互に助け合う関係を「相生」といい、牽制し合う関係を「相克」といいます。人体の「五臓」の間にも、こうした相生や相克の関係があり、五行説の考えかたは診断や治療にも生かされています。

区切り
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