小半夏加茯苓湯
【頁内目次】…クリックして下さい。写真は中国の色々。
![]() 痰飲嘔吐 |
【中国主治】(Chinese Mainly treatment) 一、痰飲,小便不利。 二、卒嘔吐、心下痞、膈間有水、眩悸者。 |
【適応症】つわり(妊娠嘔吐)、その他の諸病の嘔吐(急性胃腸炎、湿性胸膜炎、水腫性脚気、蓄膿症)、悪心、乗り物酔い、嘔吐、胃部に水分停滞感があって嘔吐するもの。 |
【中国臨床應用】(Mainly treatment) 妊娠嘔吐、各種嘔吐、梅尼爾症候群、急性胃腸炎、胃下垂、?氣、濕性肋膜炎。 |
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【中国辨證】(Dialectic) (1)嘔吐不?。 (2)上逆。 (3)?心,心下痞 (4)眩悸。 (5)尿少。 |
【妊娠・授乳の注意】![]() |
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証(症状・体質)判定を望む方 |
中医学の証の解説
中医学(漢方)の治療目的は病邪を取り除き、病因を消し去り、陰陽![]() ![]() |
次の症状のいくつかある方は、本方剤が良く効く可能性が大きいです。
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【中薬大分類】理気剤…気の運行を調節する方剤です。気の巡りを改善して気滞を治します。 【中薬中分類】降気剤…気の逆流を下降させる方剤です。即ち、気機上逆(気逆)に用います。 |
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【気血津液】…人体の生命を支える要素として、氣(qi)・血(blood)・津液(body fluid)の3つがあります。 ●水液停滞…余分な水があまっている方が使用します。津液の停滞のことで、西洋医学的には細胞内液・組織液・リンパ液などが、主として組織間・消化管内・体腔内に異常に停滞したことを意味します。 中医学では湿・痰飲・水腫と呼ぶのが一般的で、日本では水毒ともいわれます。 |
【証(病機)】痰飲、胃気上逆(たんいん、いきじょうぎゃく) |
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【中医学効能(治法)】 和胃降逆・化痰利水 |
【用語の説明】(term)![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
【出典】
(source)![]() 西暦250年 三国時代 『金匱要略』 校訂 →処方使用期間:1758年間 |
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【治療の特徴】 中医学(漢方)における治療の特徴は、「病気そのものにこだわらず、体質の改善によって健康に導く」ことと、 「自然の生薬(herb)を処方した漢方薬を使う」ことです。 生体における「気=エネルギー(energy)的なもの・肉体の機能や働き」、「血=血液」、「津液=体内水分」の3要素が身体をバランス(balance)良く循環することが大切だと考えます。 人間の健康は、これら「気」(陽)と「血・津液」(陰)の調和のもとに保たれています。「血・津液」は、原動力となる「気」のもとで初めて活性化され、全身を循環して五臓六腑に栄養を供給します。 この陰陽(positive and negative principles)が調和していれば、健康でいられますが、陰陽のバランスが崩れると、さまざまな病気が起きてくるのです。 |
中薬(成分生薬)の解説
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1.半夏・生姜は、強い鎮嘔・制吐作用をもち、また胃腸の蠕動を調整します(理気・和胃降逆)。また、痰の抑制・鎮咳作用も持っています。胃気を降逆することにより、食欲を増進します。 |
【中薬構成】(herb composition)![]()
漢方で悪心・嘔吐を止める薬と言えば、何はおいても半夏を考えねばなりません。ところが半夏は、口に入れるといがらっぼくて、著しい不快感を伴います。それで半夏を用いる場合は、必ず生姜を一緒に入れます。そうすることによって、副作用を抑えるばかりでなく作用を助けます。 |
●方 解
本方是治因胃?有停水而引起嘔吐之妙方,又是治妊娠嘔吐及各種疾病引起嘔吐不止的常用處方。 方中半夏燥濕化痰,降逆鎮嘔;生薑?中健胃,開結散飲。茯苓與半夏相輔,誘導胃?水停,而使排尿通暢,使飲自小便出。 |
病症・腹診・舌診・脈診について
病症は、この症状に当てはまることがあれば、効く可能性が大きいです。
症例・治例は、クリックして具体的な例をお読み下さい。
腹診は、お腹の切診です。日本漢方でよく使用されます。
舌診は、舌の状態の望診です。証の判定の有効な手段です。
脈診は脈の切診です。脈の速さは、確実に判定できますが、それ以外は難しい技術です。
各説明ボタンをクリックしてお読みください。
●処方名:小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)比較情報 |
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【中国藥方加減】(Dialectic) 1.胃?嘔吐:加黨參,陳皮。 2.寒熱錯雜嘔吐:加?連,??。 3.妊娠惡阻:加當歸,川?。 4.食滯嘔吐:加枳殼,神?,麥芽。 5.嘔吐痰水:合二陳湯。 6.嘔吐喜飲:合胃苓湯。 |

中医学のベースにあるのが、「陰陽五行説」と呼ばれる思想です。「陰陽論」と「五行説」の2つがいっしょになったものですが、どちらも自然や人体の観察から生まれた哲学的な思考法です。
陰陽論では、自然界のあらゆるものを「陰」と「陽」の、対立する2つの要素に分けて考えます。陰と陽は相反する性質をもっていますが、一方がどちらかを打ち負かしてしまうことのないように、常にバランスをとりあっています。自然界では、夜は陰で、昼は陽、月は陰で、太陽は陽、水は陰で、火は陽とされます。また、人体では、「五臓」が陰で、「六腑」が陽、背中が陽で、おなかが陰とされます。こうした陰と陽の分類は絶対的なものではなく、比較する相手によって変化します。たとえば、背中とくらべるとおなかは陰ですが、同じおなかでも上のほうは陽で、下のほうは陰となるといった場合です。
五行説では、自然界のさまざまな要素を「木」「火」「土」「金」「水」の5つの要素である「五行」に分けて考えます。これらの5つの要素には、それぞれ特徴的な性質があります。木はまっすぐ上に伸びる性質、火は燃え上がる性質、土は生み育てる性質、金は変化・収縮させる性質、水は下に流れて潤いをあたえる性質があるとされます。
それぞれの性質によって、五行は、お互いに助け合ったり、牽制し合ったりしながら、全体のバランスを保っています。五行が相互に助け合う関係を「相生」といい、牽制し合う関係を「相克」といいます。人体の「五臓」の間にも、こうした相生や相克の関係があり、五行説の考えかたは診断や治療にも生かされています。
