三物黄芩湯
【頁内目次】…クリックして下さい。写真は中国の色々。
![]() 陰血不足の湿熱下注/陰虚内熱/血熱・陰虚による皮膚湿疹、かゆみ |
【中国主治】(Chinese Mainly treatment) 婦人?後外感風邪,四肢苦煩熱,頭不痛,但煩者。 |
【適応症】産褥熱、不眠、口内炎、神経症、手足のほてり、血の道症、皮膚病、湿疹、水虫、進行性手掌角化症、自律神経失調症、膿疱症、凍傷(しもやけ)、頭痛。 |
【中国臨床應用】(Mainly treatment) ?褥熱,肺結核,不眠症,自律神經失調,口?炎,吐血,下血,凍傷,火傷,蕁麻疹,濕疹,乾癬,婦人血道症,更年期之病態,夏天手足煩熱,高血壓等。 |
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【中国辨證】(Dialectic) (1)?後外感風邪。 (2)四肢煩熱。 (3)眠差。 (4)皮膚乾燥。 |
【注 意】(Remark)
×残念ながら、食欲不振や吐き気、嘔吐や下痢(泄瀉)など、胃腸の弱っている方は、禁忌(きんき)(服用を避ける)です。 |
【妊娠・授乳の注意】![]() |
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証(症状・体質)判定を望む方 |
中医学の証の解説
中医学(漢方)の治療目的は病邪を取り除き、病因を消し去り、陰陽![]() ![]() |
次の症状のいくつかある方は、本方剤が良く効く可能性が大きいです。
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【中薬大分類】祛湿剤…停滞した水液(湿)を除去する方剤です。 【中薬中分類】清熱祛湿剤…熱性の湿を除去する方剤です。熱邪と湿邪を清泄します。 |
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【気血津液】…人体の生命を支える要素として、氣(qi)・血(blood)・津液(body fluid)の3つがあります。 ●津液不足…津液の不足している方が使用します。人体の構成成分の滋潤作用を持つ津液の不足のことで、西洋医学的には脱水に相当します。主に発汗過多、尿量過多、出血が原因で起こります。 状態は口渇・多飲が特徴で、唇や皮膚の乾燥、便秘などの症状が現れます。一般には陰虚の範囲に含まれ、主に肺陰虚・胃陰虚を呈することが多く、暑がりの方に多く見られます。 |
【気血津・臓腑証】 陰虚の湿熱(いんきょのしつねつ)…本方は「婦人草辱自ら発露し風を得るを治す。四肢もし煩熱、頭痛するものは、よ小柴胡湯をあたえ、頭痛まずただ煩するもの、この湯これを主る」とあるように、産後の感染(産褥熱)で四肢がほてる場合に用いています。陰虚による四肢のほてりに生地黄を、感染による湿熱に対して黄芩・苦参を配合しています。 現在では産褥熱に本方を用いるようなことはないので、苦参・黄芩のもつ抗真菌の作用を利用してトリコモナス性膣炎や白癬症に使用することが多いです。 |
【証(病機)】陰虚火旺(いんきょかおう) |
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【中医学効能(治法)】 滋陰清熱・涼血・止痒 |
【用語の説明】(term)![]() ![]() ![]() |
【出典】
(source)![]() 西暦250年 三国時代 『金匱要略』 校訂 →処方使用期間:1758年間 |
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【治療の特徴】 中医学(漢方)における治療の特徴は、「病気そのものにこだわらず、体質の改善によって健康に導く」ことと、 「自然の生薬(herb)を処方した漢方薬を使う」ことです。 生体における「気=エネルギー(energy)的なもの・肉体の機能や働き」、「血=血液」、「津液=体内水分」の3要素が身体をバランス(balance)良く循環することが大切だと考えます。 人間の健康は、これら「気」(陽)と「血・津液」(陰)の調和のもとに保たれています。「血・津液」は、原動力となる「気」のもとで初めて活性化され、全身を循環して五臓六腑に栄養を供給します。 この陰陽(positive and negative principles)が調和していれば、健康でいられますが、陰陽のバランスが崩れると、さまざまな病気が起きてくるのです。 |
中薬(成分生薬)の解説
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黄芩:苦寒。清熱、涼血止血、安胎、鎮静。消炎、鎮静、解熱、利尿作用を有します。 苦参:苦寒。清熱燥湿。陰を補い精を益す。津を生じ渇を止む。解熱利尿作用を有します。 乾地黄:甘苦寒。清熱滋陰、涼血、陰を滋し陽を退け血を涼す。血虚の発熱を治します。 3薬が協力して四肢煩熱を主徴とする血熱血燥を治します。 本方の証は陰虚火旺による四肢煩熱で、本方はそれを滋陰清熱するものです。 臨床的には産褥熱、婦人血の道、更年期障害、その他で手足の火照る者に用います。 また苦参は殺虫作用を有し、水虫や頑癬、乾癬に用いて効奏することもあります。 |
【中薬構成】(herb composition)![]()
構成生薬の三者とも寒性薬で、解熱・消炎作用が強いです。 |
●方 解
方中??清熱瀉火為君;苦參去風清熱兼利尿為臣;地?滋潤補血兼退血熱為佐。三藥合用,使火平而風息,陰復而肝寧,則肢體煩熱自除矣。 |
病症・腹診・舌診・脈診について
病症は、この症状に当てはまることがあれば、効く可能性が大きいです。
症例・治例は、クリックして具体的な例をお読み下さい。
腹診は、お腹の切診です。日本漢方でよく使用されます。
舌診は、舌の状態の望診です。証の判定の有効な手段です。
脈診は脈の切診です。脈の速さは、確実に判定できますが、それ以外は難しい技術です。
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●処方名:三物黄芩湯(さんもつおうごんとう)比較情報 |
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【中国藥方加減】(Dialectic) 1.不眠甚者:加酸棗仁,茯神。 2.?熱甚者:加?連,梔子。 3.膚乾癢甚者:合消風散。 4.婦人更年期之病態:合逍遙散。 |

中医学のベースにあるのが、「陰陽五行説」と呼ばれる思想です。「陰陽論」と「五行説」の2つがいっしょになったものですが、どちらも自然や人体の観察から生まれた哲学的な思考法です。
陰陽論では、自然界のあらゆるものを「陰」と「陽」の、対立する2つの要素に分けて考えます。陰と陽は相反する性質をもっていますが、一方がどちらかを打ち負かしてしまうことのないように、常にバランスをとりあっています。自然界では、夜は陰で、昼は陽、月は陰で、太陽は陽、水は陰で、火は陽とされます。また、人体では、「五臓」が陰で、「六腑」が陽、背中が陽で、おなかが陰とされます。こうした陰と陽の分類は絶対的なものではなく、比較する相手によって変化します。たとえば、背中とくらべるとおなかは陰ですが、同じおなかでも上のほうは陽で、下のほうは陰となるといった場合です。
五行説では、自然界のさまざまな要素を「木」「火」「土」「金」「水」の5つの要素である「五行」に分けて考えます。これらの5つの要素には、それぞれ特徴的な性質があります。木はまっすぐ上に伸びる性質、火は燃え上がる性質、土は生み育てる性質、金は変化・収縮させる性質、水は下に流れて潤いをあたえる性質があるとされます。
それぞれの性質によって、五行は、お互いに助け合ったり、牽制し合ったりしながら、全体のバランスを保っています。五行が相互に助け合う関係を「相生」といい、牽制し合う関係を「相克」といいます。人体の「五臓」の間にも、こうした相生や相克の関係があり、五行説の考えかたは診断や治療にも生かされています。
