酸棗仁湯
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(Mainly treatment) 虚証の不眠症(神経過敏による不眠) |
【中国主治】(Chinese Mainly treatment) ?勞?煩不得眠、心悸盜汗、頭目眩暈、咽乾口燥、舌紅、脈細弦。 |
【適応症】心身がつかれ弱って眠れないもの、虚労(体力消耗)から来る嗜眠、自律神経失調症、不安神経症、不眠症、神経衰弱、心臓神経症、眩暈、盗汗 |
【中国臨床應用】(Mainly treatment) 不眠、更年期綜合症、神經衰弱、盜汗、健忘症。 |
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心気虚 » 心血虚 » 心陰虚 » 心腎不交(心火+腎陰虚) » |
【中国辨證】(Dialectic) (1)失眠心煩。 (2)頭暈目眩。 (3)脈弦細而數。 |
【注 意】(Remark)
×残念ながら、著しい寒証(冷え)の方、著しい湿証(水分停滞)の方、食欲不振や吐き気、嘔吐や下痢(泄瀉)など胃腸の弱っている方は、禁忌(きんき)(服用を避ける)です。 |
【妊娠・授乳の注意】
●妊婦または妊娠の可能性のある人は、使用できない場合があります。 |
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中医学の証の解説
中医学(漢方)の治療目的は病邪を取り除き、病因を消し去り、陰陽(positive and negative principles)のバランス(balance)の乱れを正し、相関する臓腑の生理機能を調和・回復させることです。 中医学(漢方)の特徴は、身体全体を診るということです。 身体全体の調子(バランス)を整え、病気を治していきます。 ですから、病気の症状だけでなく、一人ひとりの体質も診断しなければなりません。 このときの身体の状態や体質をあらわすのが証(しょう)(constitution)という概念です。 この考え方は、西洋医学が臓器や組織に原因を求めていくのとは対照的です。 中医学(漢方)の良さは、薬そのものよりも、証にもとづき人を診るという、その考え方にあります。 |
次の症状のいくつかある方は、本方剤が良く効く可能性が大きいです。 |
【中薬大分類】安神剤…精神を安寧させる方剤です。重鎮安神・滋養安神の薬物を主体にして安神(精神安定)の効能を現す方剤です。 【中薬中分類】滋養安神剤…精神を滋養して安寧させる方剤です。陰血不足による虚陽偏亢で、焦燥・不安・動悸・不眠・易醒・多夢・盗汗(寝汗)・健忘・舌質が紅絳・少苔などの時に使用します。 |
裏熱虚(りねつきょ)
…証(体質・症状)が、裏証(慢性症状)、熱証(暑がり)、虚証(虚弱)、気虚(心身疲労)の方に適応します。
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【気血津液】…人体の生命を支える要素として、氣(qi)・血(blood)・津液(body fluid)の3つがあります。 ●血虚…血が不足している方が使用します。血の濡養(栄養・滋潤)作用の不足による症候で、広義での栄養不良状態に相当します。 皮膚につやがない、爪の色が悪い、頭のふらつき、目がかすむ、しびれ感などの症状を呈します。 ●津液不足…津液の不足している方が使用します。人体の構成成分の滋潤作用を持つ津液の不足のことで、西洋医学的には脱水に相当します。主に発汗過多、尿量過多、出血が原因で起こります。 状態は口渇・多飲が特徴で、唇や皮膚の乾燥、便秘などの症状が現れます。一般には陰虚の範囲に含まれ、主に肺陰虚・胃陰虚を呈することが多く、暑がりの方に多く見られます。 |
【気血津・臓腑証】 熱証を伴う心血虚(ねつしょうをともなうしんけつきょ)…補血安神の酸棗仁を大量に用い、安神の茯苓で補助し、さらに清熱の知母・活血の川キュウ・調和の炙甘草を配合しています。知母は鎮静にも働くので、酸棗仁・茯苓・知母による鎮静剤です。適応は睡眠不良ですが、眠りが浅い・よく目が覚める・夢をよく見るなどの症状に奏効し、一般に見られる不眠症で寝つきが悪いものにはあまり有効ではありません(寝つきが悪いものの多くは気虚・肝欝・熱証です)。知母の配合があるところから、ほてり・のぼせなどの熱証を呈するものに良いです。なお、川茸には鎮静作用があると報告されていますが、逆に脳の充血をきたすところがら興奮にも働くようです。 |
【証(病機)】陰虚陽亢・虚煩不眠(いんきょようこう、きょはんふみん) |
【中医学効能(治法)】 養心安神・清熱除煩・補血安神 |
【用語の説明】(term) 養心(ようしん) »…心の機能を高めることです。 安神(あんしん) »…精神を安定させることです。 清熱(せいねつ) »…熱をさますことです。身体の内部の熱を冷ますことです。体表の熱の場合は解熱といいます。 徐煩(じょはん) »…イライラを改善することです。 血虚(けっきょ) »…体を栄養する血が不足した状態です。貧血などで栄養成分が不足した状態です。顔色不良、口舌が淡白、爪・毛髪につやがない、ふらつき、視力減退などがあります。 心血虚・心陰虚(しんけっきょしんいんきょ) »…心血虚・心陰虚;心の陰液の不足による症候で、主に精神不安があり、心拍動の異常があり、一般的な血虚・陰虚の症候が見られます。中枢の抑制過程の低下・自律神経系の過亢進・心筋の代謝異常などによる症候と考えられます。 |
【出典】
(source) 西暦250年 三国時代 『金匱要略』 校訂 →処方使用期間:1758年間 |
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【治療の特徴】 中医学(漢方)における治療の特徴は、「病気そのものにこだわらず、体質の改善によって健康に導く」ことと、 「自然の生薬(herb)を処方した漢方薬を使う」ことです。 生体における「気=エネルギー(energy)的なもの・肉体の機能や働き」、「血=血液」、「津液=体内水分」の3要素が身体をバランス(balance)良く循環することが大切だと考えます。 人間の健康は、これら「気」(陽)と「血・津液」(陰)の調和のもとに保たれています。「血・津液」は、原動力となる「気」のもとで初めて活性化され、全身を循環して五臓六腑に栄養を供給します。 この陰陽(positive and negative principles)が調和していれば、健康でいられますが、陰陽のバランスが崩れると、さまざまな病気が起きてくるのです。 |
【中薬構成】(herb composition)
主薬である酸棗仁は、漢方の催眠薬の代表ともいうべきものです。これに加えられている茯苓にも動悸をしずめる作用があり、知母にも熱をさまし鎮静させる作用があります。茯苓を除き、すべて潤性薬、川芎・甘草を除きすべて降性薬であるところから、この方剤がイライラをしずめるのに適した薬物構成であることがわかります。 |
●方 解
本方所治之失眠症、係因肝血不足,陰?陽亢,?熱?擾所致。方中重用酸棗仁,養血補肝,寧心安神,並可歛汗;茯苓與酸棗仁相伍,以加強寧心安神之效;川?調暢氣機,疏達肝氣與酸棗仁同用,又可養血調肝安神之效;知母滋陰清熱除煩,並可緩川?之辛燥,使無傷陰之弊;甘草生用,清熱和藥。諸藥合用,養肝血以寧心神,清?熱以除?煩,則睡眠自寧。 |
病症・腹診・舌診・脈診について
病症は、この症状に当てはまることがあれば、効く可能性が大きいです。
症例・治例は、クリックして具体的な例をお読み下さい。
腹診は、お腹の切診です。日本漢方でよく使用されます。
舌診は、舌の状態の望診です。証の判定の有効な手段です。
脈診は脈の切診です。脈の速さは、確実に判定できますが、それ以外は難しい技術です。
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●処方名:酸棗仁湯(さんそうにんとう)比較情報 |
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【中国藥方加減】(Dialectic) 1.偏陰?有熱者:加生地、百合、白芍。 2.盜汗甚者:加五味子、浮小麥。 3.驚悸甚者:加龍骨、牡蠣、黨參。 4.氣?痿弱:加人參、?耆。 5.血?不眠:加當歸、熟地、何首烏。 6.煩熱不眠:加牡丹皮、梔子、淡竹葉。 7.煩燥不眠:合?膽湯。 8.驚悸不眠:合抑肝散。 9.陰?火旺:合?連解毒湯。 |
中医学のベースにあるのが、「陰陽五行説」と呼ばれる思想です。「陰陽論」と「五行説」の2つがいっしょになったものですが、どちらも自然や人体の観察から生まれた哲学的な思考法です。
陰陽論では、自然界のあらゆるものを「陰」と「陽」の、対立する2つの要素に分けて考えます。陰と陽は相反する性質をもっていますが、一方がどちらかを打ち負かしてしまうことのないように、常にバランスをとりあっています。自然界では、夜は陰で、昼は陽、月は陰で、太陽は陽、水は陰で、火は陽とされます。また、人体では、「五臓」が陰で、「六腑」が陽、背中が陽で、おなかが陰とされます。こうした陰と陽の分類は絶対的なものではなく、比較する相手によって変化します。たとえば、背中とくらべるとおなかは陰ですが、同じおなかでも上のほうは陽で、下のほうは陰となるといった場合です。
五行説では、自然界のさまざまな要素を「木」「火」「土」「金」「水」の5つの要素である「五行」に分けて考えます。これらの5つの要素には、それぞれ特徴的な性質があります。木はまっすぐ上に伸びる性質、火は燃え上がる性質、土は生み育てる性質、金は変化・収縮させる性質、水は下に流れて潤いをあたえる性質があるとされます。
それぞれの性質によって、五行は、お互いに助け合ったり、牽制し合ったりしながら、全体のバランスを保っています。五行が相互に助け合う関係を「相生」といい、牽制し合う関係を「相克」といいます。人体の「五臓」の間にも、こうした相生や相克の関係があり、五行説の考えかたは診断や治療にも生かされています。