芎帰膠艾湯
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(Mainly treatment) 血虚の生理不順・性器不正出血/血虚を伴う出血 |
【適応症】痔出血、不正性器出血、子宮出血、切迫流産、血小板減少性紫斑病、腎出血、膀胱出血、腸出血、外傷後の内出血、産後出血、貧血症、赤色帯下、血尿、流産癖、出血性メトロパチー、月経過多症 |
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血虚 » |
【注 意】(Remark)
×残念ながら、血色の良い実証の方、下痢(泄瀉)しやすい方は、禁忌(きんき)(服用を避ける)です。 |
【妊娠・授乳の注意】
●安産の薬です。安胎薬として、妊娠時にもよく用いられます。 ●切迫、流・早産の性器出血の場合に使用されます。 ●妊婦または妊娠の可能性のある人は、使用できない場合があります。 |
証(症状・体質)判定を望む方は
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中医学の証の解説
中医学(漢方)の治療目的は病邪を取り除き、病因を消し去り、陰陽(positive and negative principles)のバランス(balance)の乱れを正し、相関する臓腑の生理機能を調和・回復させることです。 中医学(漢方)の特徴は、身体全体を診るということです。 身体全体の調子(バランス)を整え、病気を治していきます。 ですから、病気の症状だけでなく、一人ひとりの体質も診断しなければなりません。 このときの身体の状態や体質をあらわすのが証(しょう)(constitution)という概念です。 この考え方は、西洋医学が臓器や組織に原因を求めていくのとは対照的です。 中医学(漢方)の良さは、薬そのものよりも、証にもとづき人を診るという、その考え方にあります。 |
次の症状のいくつかある方は、本方剤が良く効く可能性が大きいです。 |
【中薬大分類】理血剤…血の運行を調節する方剤です。理血薬を主体にして血分を調理し、血分の病変を改善する方剤です。 【中薬中分類】止血剤…出血を止める方剤です。血液が経脈を離れて妄行するために生じる鼻出血・吐血・喀血・血便・不正性器出血など各種の出血に用います。 |
裏寒虚(りかんきょ)
…証(体質・症状)が、裏証(慢性症状)、寒証(冷え)、虚証(虚弱)の方に適応します。
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【気血津液】…人体の生命を支える要素として、氣(qi)・血(blood)・津液(body fluid)の3つがあります。 ●血虚…血が不足している方が使用します。血の濡養(栄養・滋潤)作用の不足による症候で、広義での栄養不良状態に相当します。 皮膚につやがない、爪の色が悪い、頭のふらつき、目がかすむ、しびれ感などの症状を呈します。 |
【気血津・臓腑証】 血虚の出血(けつきょのしゅっけつ)…四物湯に止血の阿膠・艾葉と炙甘草を配合しています。妊娠中の下腹部痛(切迫流産)や不正性器出血あるいは産後の出血に用いられ、四物湯による調経と阿膠・交葉による止血の効能を利用しています。 単なる止血剤と考えることもできるので、強い熱証を呈さない出血には広く用いてよいです。 |
【証(病機)】衛任虚損(えにんきょそん) |
【中医学効能(治法)】 補血止血・調経安胎・補血活血・滋陰・養血 |
【用語の説明】(term) 止血(しけつ) »…出血している血を止めることです。 補血(ほけつ) »…血を補うことです。=益血、養血。 調経(ちょうけい) »…月経を調節することです。 安胎(あんたい) »…妊娠を安定させることです。 活血(かっけつ) »…血の流れを良くすることです。 滋陰() »… |
【出典】
(source) 西暦250年 三国時代 『金匱要略』 校訂 →処方使用期間:1758年間 |
左の写真は当帰の花です。 当帰の作用は次の通りです。 ●補血作用…血の機能を高め、身体の栄養分を補います。 ●行血作用…子宮を収縮して、瘀血(流れの滞った状態の血液)を排出したり、子宮の痙攣を抑えます。 ●潤腸作用…腸内の水分不足を改善し、便秘に効果を発揮します。 ●調経作用…月経を調節します。 ●鎮静作用…気持ちを静める作用です。 |
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【治療の特徴】 中医学(漢方)における治療の特徴は、「病気そのものにこだわらず、体質の改善によって健康に導く」ことと、 「自然の生薬(herb)を処方した漢方薬を使う」ことです。 生体における「気=エネルギー(energy)的なもの・肉体の機能や働き」、「血=血液」、「津液=体内水分」の3要素が身体をバランス(balance)良く循環することが大切だと考えます。 人間の健康は、これら「気」(陽)と「血・津液」(陰)の調和のもとに保たれています。「血・津液」は、原動力となる「気」のもとで初めて活性化され、全身を循環して五臓六腑に栄養を供給します。 この陰陽(positive and negative principles)が調和していれば、健康でいられますが、陰陽のバランスが崩れると、さまざまな病気が起きてくるのです。 |
【中薬構成】(herb composition)
方剤の名称は構成生薬中の川苛・当帰・阿膠・交葉からとったものであるが、組成としては四物湯に交葉・阿膠・甘草を加えたものと見ればよい。 |
病症・腹診・舌診・脈診について
病症は、この症状に当てはまることがあれば、効く可能性が大きいです。
症例・治例は、クリックして具体的な例をお読み下さい。
腹診は、お腹の切診です。日本漢方でよく使用されます。
舌診は、舌の状態の望診です。証の判定の有効な手段です。
脈診は脈の切診です。脈の速さは、確実に判定できますが、それ以外は難しい技術です。
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●処方名:芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)比較情報 |
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陰陽五行説
中医学のベースにあるのが、「陰陽五行説」と呼ばれる思想です。「陰陽論」と「五行説」の2つがいっしょになったものですが、どちらも自然や人体の観察から生まれた哲学的な思考法です。
陰陽論では、自然界のあらゆるものを「陰」と「陽」の、対立する2つの要素に分けて考えます。陰と陽は相反する性質をもっていますが、一方がどちらかを打ち負かしてしまうことのないように、常にバランスをとりあっています。自然界では、夜は陰で、昼は陽、月は陰で、太陽は陽、水は陰で、火は陽とされます。また、人体では、「五臓」が陰で、「六腑」が陽、背中が陽で、おなかが陰とされます。こうした陰と陽の分類は絶対的なものではなく、比較する相手によって変化します。たとえば、背中とくらべるとおなかは陰ですが、同じおなかでも上のほうは陽で、下のほうは陰となるといった場合です。
五行説では、自然界のさまざまな要素を「木」「火」「土」「金」「水」の5つの要素である「五行」に分けて考えます。これらの5つの要素には、それぞれ特徴的な性質があります。木はまっすぐ上に伸びる性質、火は燃え上がる性質、土は生み育てる性質、金は変化・収縮させる性質、水は下に流れて潤いをあたえる性質があるとされます。
それぞれの性質によって、五行は、お互いに助け合ったり、牽制し合ったりしながら、全体のバランスを保っています。五行が相互に助け合う関係を「相生」といい、牽制し合う関係を「相克」といいます。人体の「五臓」の間にも、こうした相生や相克の関係があり、五行説の考えかたは診断や治療にも生かされています。